シューマッハカレッジ留学記について


イギリス・ロンドンから西へ約300キロ。ケルト文化の息づくデボン州の中央部に、トトネスという小さな街があります。人口約5,000人、見た目は典型的なイギリスの田舎町。しかしこの町は、世界的に見ても特別な意味を持つ場所です。

1998年、私はこの街にある大学院大学「シューマッハカレッジ」に留学しました。ここは、持続可能な社会の実現を目的として設立された教育機関で、私が参加したのは「ホリスティックサイエンス(全体性科学)」修士課程でした。

1990年代から2000年代にかけて、シューマッハカレッジには、サステナブルな未来を模索する世界的な思想家、研究者、活動家(別ページ参照)が集まりました。彼らの講義を聴くために、世界中から学生がこの小さな学校へ足を運んだのです。環境・エコロジー・サステナビリティに関心のある人々の間では、その名を知らない者はいないほどの存在でした。当時このカレッジに集っていた人々の多くが、今や世界各地で持続可能性のリーダーとして活躍しています。

このブログでは、その貴重な時間の記録として、世界の片隅にあったこの小さな学校が「世界を変える」原動力となった日々の様子を綴っていきたいと思います。なお、この文章は食に関する雑誌に連載された原稿を加筆・修正したものであり、トトネスでの生活やイギリスの食文化にも時折触れています。

残念ながら、シューマッハカレッジはリーマンショック以降、運営母体の財政難などの影響を受け、運営方針と教育内容が次第に変化。2024年には大学院大学としての活動を終了しました。現在は、創立メンバーの一人であるサティシュ・クマール氏を中心に、「Schumacher Wild」という名前で、自然と人間との関係性を探求する活動が続けられています。

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Schumacher College 留学記

30年におよぶシューマッハカレッジの活動は、前半期と後半期で大きく異なります。この留学記は、その前半期にあたる、サステナブルな社会を創るために必要な考え方や知見を学ぶことを目的に、世界的な研究者や思想家、活動家が数多く招聘され、世界各国から学生が集まり、サステナビリティの分野で世界的に知られた学び場だったありし日々の様子を書き残したものです。

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