Grow Small, Think Beautiful
Grow Small, Think Beautifulは、世界がこれから、25年程度をかけて行きつく、着地点を表現している言葉でしょう。これは、シューマッハカレッジに関わる面々が、世界が直面している危機に対して、それをどのように解決し、いかなる新たな社会を作っていくかの議論を収録した、シューマッハカレッジが、この20年間の集大成として、このほど初めて出版した本のタイトルです。
編集したのは、この学校を20年にわたって支えてきた、エコロジストでガイア理論の研究者である、ステファン・ハーディング。執筆者にはシューマッハカレッジを立ち上げてきた人々や、その卒業生が名を連ねています。
ガイア理論のジェームズ・ラブロック。
理論物理学者でエコリテラシー研究所の、フリチョフ・カプラ。
日本でも近年注目され、来年も来日が予定されている思想家であり活動家でもある、サティシュ・クマール。
「懐かしい未来」の著者で、映画「幸せな経済学」の製作者でもある、社会活動家のヘレナ・ノーバーグ=ホッジ。
生物学者であり、形態形成論の提唱者である、ルパード・シェルドレイク。
ローカル経済、地域通貨の研究で知られるリチャード・ダウスウェイト。
ホールシステムアプローチ(全員参加型集会)のひとつ、Cooperative Inquiryの中心的研究者である、ピーター・リーソン。
ホリスティックサイセンス修士コースの、コーディネーターを長年にわたって務めるとともに、ホリスティックな調和的な社会構造を研究してきた、ギデオン・コゾフ。
今年度からスタートした、サスティナブル経済学修士コースの責任者、ジュリー・リチャードソン。
その他、ホリスティックサイエンス修士コースの卒業生で、それぞれの分野で研究を続けている、研究者や大学教員たちの文章などが収録されています。
テーマは、地球生命系のことから、教育の在り方、科学論、経済、貨幣システム、トランジションの考え方、エネルギー、ビジネス、組織論、デザイン論まで、多岐にわたっていますが、一般向けに書かれていますので、比較的読みやすい文章になっています。
そもそも地球生命系は、時計仕掛けのような、部品が積み重なってできたものではありません。地球生命系は、極めて複雑に相互影響し、相互に依存しあいながらお互いの生命を維持する系です。従って、「個」ばかりを研究していても、本当の姿はわかりません。地球生命系の本当の姿を知るには、「個」がどのように「他」と相互影響、相互依存を行い、そこから「全体」がどのようにして形成され、維持されているかを明らかにする、全体性(ホリスティックな視点)を重視した研究が必須となります。1970年代以降、ガイア理論、オートポイエーシス、システム思考、複雑系科学、などの研究の進展で、地球生命系のしくみを全体性の視点でとらえなおす,数々の研究が行われ、それまでの生物学、地球環境学の常識を覆す事実が、次々に明らかになってきました。
地球規模においては、すべての生命と地球、宇宙とが、お互いにうまく相互影響しながら自律機能を発揮する、非常に安定した地球生命システムを作り上げてきた、そのしくみが明らかになってきました。そして、個々の生命においても、その基本には数々の絶妙に調律された創発現象が積み重なって、極めてレジリアンス(しなやか)な、生命=自律を保つプロセス、が起こっていることがわかってきました。
地球の進化は、それぞれの「個」の変化が、「全体」に変化を与え、「全体」が変化すると、それが「個」の変化をさらに誘導する、“共進化”によってすすみます。従って、「全体」に調和できない「個」が現れた場合、それは淘汰されるか、あるいは、場合によっては「全体」の崩壊を招きます。今、人間は、まさにその岐路に立っているのです。私たちが自然界と共生しようとするのならば、その相手である、自然界というものが、どのようなものであるかをよく知る必要があります。少なくとも、自然界を形成している基本的なしくみを知ることは、私たちのこれからの社会づくりを考えるうえで、その唯一の拠り所となるはずです。
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